1989年にリリースされた「The Pump(ザポンプ)」は、足を空気で包み込む「Air Chamber System(エアチェンバーシステム)」によってフィッティングのセルフカスタマイズを可能とした「The Pump Technology(ポンプテクノロジー)」を初搭載したモデルとして話題を集め、ドイツ/ミュンヘンで開催されたISPO(インターナショナルソサエティーフォープロスセティックスアンドオーソティックス)にて初披露。
その優れた「機能性」でシューズ業界のみならず、Time(タイム)やUSA Today(ユーエスエートゥデイ)等、様々なメディアで紹介され大反響を獲得。
その後も他カテゴリーに拡大しながら進化を続け、1994年にリリースされた「Instapump Fury(インスタポンプフューリー)」の躍進により「Reebok(リーボック)」の代名詞へと成長。
1994年の「Instapump Fury(前期型)」発売以降、約1年間の沈黙を破り1995年にアップデートを施して再リリースされた「Instapump Fury(後期型)」は様々なブランドやアーティストとのコラボレートモデルを発表。
90年代中期にはハイテクスニーカーブームと呼ばれた社会現象を引き起こし、世界のマーケットを巻き込みながらスニーカー史上屈指の争奪戦が繰り広げられました。
また2008年以降も「Instapump Fury」をベースに「mita sneakers(ミタスニーカーズ)」とのコラボレーションモデルを始め、様々なブランドとの別注モデルや有力ショップを中心とした限定ラインがリリース。
2014年には20周年を迎え、オリジナルカラーである通称"Citron(シトロン)"が1994年の「Instapump Fury(前期型)」を可能な限り忠実に再現し「Instapump Fury OG(インスタポンプフューリーオリジナル)」として完全復刻され、2019年に迎えた25周年では幻とされていた「Instapump Fury Proto 94(インスタポンプフューリープロト94)」がリリースとなりました。
そんな四半世紀の節目を迎えた「Instapump Fury」をベースに「adidas(アディダス)」が2013年に新たな素材の成型方法に着目する事で誕生し、弾む様な推進力を生み出す「Boost Foam(ブーストフォーム)」をハイブリッドさせた「Instapump Fury Boost(インスタポンプフューリーブースト)」からシーズナルカラーがゲリラリリース。
1980年代後半に革新的な商品を開発する為に「Reebok」で立ち上げられた「ATG(アドバンスドテクノロジーグループ)」は1991年に中核を担う事になるフットウェアデザイナー「Steven Smith(スティーブンスミス)」氏を招聘し、名称を「RAC(リーボックアドバンスドコンセプツ)」と改めて"世の中に存在しないデザインを生み出す"と言う野心的なコンセプトを掲げながら数々のエポックメイキングを輩出。
その中でも「機能性」を重視したモデルが数多くリリースされていた90年代に発表された「Instapump Fury」は、斬新な機能美を誇るイノベーティブなプロダクトとして当時のスニーカーシーンに衝撃を与えました。
また"スピード感"から着想を得て炎に包まれている姿を表現したファーストカラーの"Citron"は、当初「Reebok」内でカラーリングが奇抜過ぎると言う理由から販売が見送られる予定でしたが「Steven Smith」氏が当時のCEO(最高経営責任者)に直談判した事で販売に至ったと言う逸話が残されています。
その後も革新的な音楽を生み出す事で知られる「Bjork(ビョーク)」氏が自身の楽曲であるArmy Of Me(アーミーオブミー)のプロモーションビデオで着用し、カルチャー誌のCut(カット)で表紙を飾った際にも同モデルを中心に計算されたコーディネートを魅せる等、90年代を象徴するアイコンモデルとして世界中のスニーカーヘッズやファッションフリークから絶大な支持を受けています。
通称"Sticker City(ステッカーシティ)"と呼ばれる今作は、名作「Instapump Fury」を生み出したフットウェアデザイナー「Steven Smith」氏を中心にしたデザインチーム「RAC」に敬意を表し「Instapump Fury」からインスパイアされた「グラフィック」を「ステッカー」にして貼り合わせた様なデザインで昇華されています。
「The Pump Technology」等、各時代に新たなテクノロジーを市場に投下して来た「Reebok」のアイデンティティを継承する傑作「Instapump Fury」と「adidas」がプロダクトカンパニーとして生み出した「Boost Foam」。
これまで交わる事の無かった両ブランドが融合した歴史的な逸足をこの機会に体感して見ては如何でしょうか。