国井氏(以下:国)まず始めにブランドを始めた経緯をお願いします。

 

KIRK氏(以下

K:)もともと新宿の「Jackpot」でバイヤーをやらして頂き、そこから派生してストリートブランドのディストリビューション等をやっていたんですね。1995年頃ですね。それで2000年頃にMUROくん(DJ MURO氏)からバイヤーの話を頂いて、いろいろなブランドに触れていくうちに自分でもやってみたいなと。最初はTシャツ5型くらいから「EXPANSION」を始めました。

 

国:今住んでいるのはNew Yorkですよね?

 

K:そうですね。

 

国:いつから住んでいるのですか?

 

K:1991年からなので、19年くらいになりますね。あと3歳から7歳までLos Angelesに住んでいたので23年くらいはアメリカにいます。

 

国:「EXPANSION」は日本のHIP HOPカルチャーだけでなく本国アメリカのHIP HOPカルチャーにもすごく精通していると思うのですが、それはやはりアメリカに長く住んでいるコトでのネットワークだったり、音楽だったりグラフィティーなどのカルチャーが好きだったりというコトが切欠ですか?

 

K:もともとブレイクダンスがすごく好きで、それでアメリカに行ったっていうのもあるんですよね。それでアメリカのダンススクールの帰りに近くにあったお香を売っている売店のアフリカ人と仲良くなって、そこでずっと話をしていたら普通にBusta Rhymes(HIP HOPアーティスト)とかが居たりして。そのような環境だったので自然とHIP HOPカルチャーが身近にあったっていう感じですね。

 

国:「EXPANSION」を始めて何年目になりますか?

 

K:会社を設立したのは2002年ですが、その前からやっているので10年くらいになりますね。

 

国:ブランドネームである「EXPANSION」の由来は何ですか?

 

K:EXPANSIONは「拡大」「拡張」「発展」という意味があって、服作りもいろいろな方向に「拡大」「発展」していきたいという思いから付けました。

 

国:洋服作りをしているKIRKくんもそうだし、「EXPANSION」というブランドのフィルターを通した様々な人達にも拡大していくというような意味合いがあるということですよね。

 

K:そうですね。

 

国:では今回のコラボレーションなのですが、コトの発端は何だったのでしょうか?

 

K:発端は4年くらい前に渋谷でとんがり山と遊んでいた時に「mita sneakers」の大沢さんと「ハンドレッドファースト」の菊池さんとライターの草刈くんと疋田くんに会ったんですよね。それでみんなで飲んでいて、酔っぱらった菊池さんが「KIRK、mita sneakersとやっちゃいなよ」って酔っ払った勢いで言ってきたんですよね。(笑)そこからですかね。(笑)

 

国:ボクもKIRKくんとは以前から親しくさせて頂いていて、いつかは一緒に何か形に残るモノやコトをしたいなぁって。。「EXPANSION」のエキシビジョンに伺ったり食事行ったりする度にそんな話はしていたけど、動き出すまで本当に時間が掛かってしまいましたね。。では今回のコラボレーション始動にあたって、なぜこのモデルをセレクトしたのでしょうか?

 

K:「mita sneakers」が以前コラボレーションにフィーチャーしたモデルを選んで、同じようなところに同じような感じで提案するのは僕らのやり方じゃないんじゃないかなっていうこともあり、8番台をセレクトしました。

 

国:このスニーカーにももちろんファンはいるのですが、知っている人もやはり限られていてコアと言うかマニアな人達なんですよね。「EXPANSION」がパートナーとして選ぶブランドだったりアーティストだったりも偉大な功績を残している人達や各界のオリジネイターだと思うのですが、違うジャンルの人達にはあまり知られていなかったりして、そういうブランド、アーティストにスポットを当てて他のところに広げるという動きがすごく共通していて、この品番をセレクトしたのは本当に「EXPANSION」らしいなと思いましたね。では、その制作において特にこだわった点はどのようなところだったのでしょうか?

 

K:「EXPANSION」は個展、アートもやっているのでその部分と「mita sneakers」の歴史を含めて、ずっと残るような良い作品を作るということを意識してデザインを考えたところですかね。あと、ノベルティーとしてジュエリーブランド「GARNI(ガルニ)」のご協力でリングを制作しました。これはNew Yorkのトークン(NYCの地下鉄で85年〜87年まで使われていたトークン※切符代わりのコイン型乗車券)をイメージしたリングです。

 

国:アッパーに使用しているグラフィックは何ですか?

 

K:「EXPANSION」オリジナルカモフラージュパターンであるスパイラルアーバンカモです。

 

国:なるほど。ではこのスニーカーはどのような人達に履いてもらいたいですか?

 

K:う〜ん。そうですね。。洋服でもそうなんですけど、基本的に僕が人を選ぶのではなく人が僕を選ぶというようなスタンスなので、本当に誰にでも履いてもらいたい。どこに行くにしろ「いいねこれ。」とか「何これ?」「これEXPANSIONのさ〜・・・」「そうなんだ〜いいねいいね。」とか「EXPANSION」を知らなくても全然良くて、選んでくれたお客さんが「良かった」って思ってもらえればそれでいいですね。・・・誰に履いてもらいたいかなぁ?・・・オバマに履いてもらいたいですね。(笑)

 

国:(笑)

 

K:でもアメリカ大統領、「new balance」履いてましたよね?

 

国:履いてましたね。クリントンとか。

 

K:クリントンもいいけど、オバマが履いたらヤバくない?(笑)

 

国:ヤバいっすね!(笑)「EXPANSION」自身の話になりますが、今後の展開はどうですか?

 

K:今までアメリカ、日本でやっていましたが12月中には台湾で展示会したり、来年の1月にはホームグラウンドのNew Yorkで行うカプセルショーに出店します。僕としてはとりあえず服作りです。良い服作りです。だから「New Yorkどう?」と言われても工場か生地屋にしか居ないので..... New Yorkは分かりません。と言うか僕の住んでいる街です。

 

国:ここからはKIRKくん自身について聞いていきたいのですが、まずどのような基準でスニーカーを選んでいますか?

 

K:履きやすい、疲れない。それが一番で、次にそのスニーカーのデザインにバックボーンがあるとすごく惹かれますね。

 

国:KIRKくんのライフスタイルでスニーカーとはどのようなモノでしょうか?

 

K:なんでしょうね。重要な文化というか。普段、アメリカにいることもあって、すごく身近なモノなんですけど重要な存在ですね。

 

国:休日とかって何をしているのですか?

 

K:あまり休日はないのですが、最近はスケート(スケートボード)をしてますね。あとは一人でギャラリーや美術館に行ったりしています。

 

国:このクロストークを見ている人の中にはアメリカに限らず海外に何かを学びに行きたいと思っている人もいると思うのですが、その人達に向けて何か言えることってありますか?

 

K:勢いが大事だと思います。もちろん下調べはしたほうが良いですけど、HISに電話しようと受話器を持ってそこで止まらず掛けられるかどうか。マジっす(笑)

 

国:最後に何かメッセージがあればお願いします。

 

K:「EXPANSION」と言うブランドもあるので、もし近くのショップで売っていて時間があったら目を通してみて下さい。

■プロフィール■

「EXPANSION」

DESIGNER : Hiroshi "Kirk" Kakiage

 

1974年東京生まれ。91年、16歳でNYへ移住。ヒップホップやグラフィティなどストリートカルチャーが真のアートフォームへと進化した90年代のNYゴールデンタイムを、10代の頃から生活の現場で体験した数少ない"Real Japanese New Yorker"である。

 

アパレルキャリアも長く、"King of Diggin'"こと「MURO」がかつての爆心地、渋谷・宇田川町にオープンした伝説のヘッズショップ「SAVAGE」や、新宿の老舗「Jackpot」などのNYバイヤーを歴任。97年にはアパレルのディストリビューションカンパニー「Seven Summits」を設立し、ストリートに根ざしたNY発の先鋭ブランド(Elements of Style, Ujima, Writers Bench, Ziran,School of Hard Knocks, Head Hunter, Hustler, 10 Deep, Subwear, SSUR, Mic Check ,Fondlem, etc..)を日本に送り込んだ仕掛け人でもある。

 

そして2002年、10年以上にわたり東京生まれの日本人としてNYの真の真の深いところで生活を続けてきた経験をバックグラウンドに、"価値観、ライフスタイルの拡大・発展・進化"をコンセプトに掲げた自身のアパレルブランド「Expansion Inc.」を始動。ブランド立ち上げ後、そのコンセプトに賛同してコラボレートしてきたパートナーは、「InI」 「Grand Puba」 「Large Professor」 「OC(DITC)」 「De La Soul」 ほか、NY産ヒップホップのリアルな面子たちも名を連ねている。

 

最近では美術界へもその目利きを尖らせ、スプレーアートの世界からはコンタクトすることさえ困難といわれる「Phase2」 「Ghost(RIS)」 「Wane(COD)」ら、往年のダウンタウン地下鉄シーンの大物たちともコラボレートワークを発表。メディアへの露出などを嫌うこれら骨太のアーティストたちとの共同作業を実現させたのは、長年のNY生活で築き上げてきた"Props"と、金銭関係ではないアーティストたちとの個人的な信頼関係によるもの。そのほか、NYの街角からその時代のストリートアクティビティーを記録し続けてきた「Martha Cooper」 「Chi Modu」 「Michael Benabib」 「David Schmidlapp」ら多くの写真家、過去に名だたるヒップホップの名盤をデザインしてきた「Cey Adams」や「Joe Buck」といった、知る人ぞ知る"Real New York Artists"たちとも仕事をこなし、そのアンテナとコネクションは常に本物志向。東京ではコレクションの展示会と同時にNY発のアート展を共催するなど、その距離感が年々縮まっているファッションと芸術をリンクする動きにもいち早く取り組んでいる。

 

またブラジリアン柔術を中心に「MMA(総合格闘技)」への造詣も深く、NYに道場を構えるグレイシーファミリーの司令塔、「Renzo Gracie」や修斗のレジェンド「佐藤ルミナ」のT-Shirtsへデザインを提供している。

 

故郷でもあるNYと東京という2大都市からインスパイアされた「EXPANSION」はまさに「都市生活者の制服」。生地や生産に関してもMade in Japan、Made in New Yorkをアイデンティティーに、好き者のツボを突くこだわりを効かせたクロージングラインは、日本では「realmadHECTIC」などのセレクトショップで展開されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■INFO■

Art of Music

アート展 + EXPANSION SPRING SUMMER EXHIBITION 2010

 

1990年代のヒップホップ黄金期の中でひときわ輝く"CLASSIC"と呼ばれるアルバムには、楽曲のクオリティーに匹敵するだけの、当時から10年以上が経った今も僕たちの記憶の中に刷り込まれていると言ってもいいほどのインパクトを持った秀逸なアートワークがありました。かつての僕たちは、楽曲と同様にジャケットやロゴなどのアートワークまでを含めて、それらのアルバムを"CLASSIC"と呼んだのではないでしょうか。これまでコレクション発表と同時に、ブランドのルーツでもある"New York"をテーマにアート展を開催してきたEXPANSIONは今回、数々のヒップホップアルバムにアートワークを提供してきた5人のアーティストをセレクトし、今なお輝き続ける名盤を彩った珠玉のアートワークをキャンバスにいま一度再現してもらいました。また、"NY to TOKYO"の臭いと空気をたっぷり吸収したEXPANSIONの新作春夏LINE-UPをどうぞお楽しみ下さい。

 

ARTIST: STEVE BROCK (PETE ROCK, INI ) WANE COD (JERU THE DAMAJA, GROUP HOME, GURU) ERIC ORR (BRAND NUBIAN, D.I.T.C., SHOWBIZ & A.G. ) CHI MODU (MOBB DEEP, BLACK MOON) JOE BUCK (De La Soul )

 

■開催場所■

MARTINA

東京都渋谷区神宮前3-4-9 J3ビルB1

 

日時

2009年11月23日(月)から11月28日(土)まで

 

開催時間

12:00から19:00まで